2002年スタートの「兎屋」は、紙バンド手芸をもっと楽しんで頂きたいという思いで活動しています。
兎屋の仕事は、手芸用紙バンドの品質向上を軸に様々なカタチの手芸用紙バンドを企画・開発し、多彩で高品質な手芸用紙バンドをお客さんに提供する事です。そして創業以来続けているのが
メイン商品「コレクションカラー紙バンド」の品質向上です。
一般的に流通しているカラー紙バンドは愛媛県の紙を使い静岡県や海外で生産していますが、兎屋は紙を求めて高知県に移住し、奇跡の製紙会社と一緒に強靭な「手芸用紙バンド原紙」を開発して来ました。そしてお隣、愛媛県の紙加工会社さんで紙バンド加工を委託しています。強靭な!という事はかなり厳しい加工を施す事が可能で、おかげで高品質の手芸用紙バンド「コレクションカラー紙バンド」を製造出来ています。
紙バンドは外見だけでは品質がどうなのか?わかりにくいですが、コレクションカラー紙バンドは手に取って編んで下さると「!」成程と思って頂けます。是非割き易く毛羽立ちの少ない兎屋コレクションカラー紙バンドをお試し下さい。弾力性のあるパリッとした作品となります。
2002年頃はストライプの人気が無く、兎屋は熱心にストライプ紙バンドを作る事はしませんでした。しかし気が付いた事は、コレクションカラーと同じ製造の兎屋ストライプは、弾力性もありしっかりとした作品が出来るという事で、この気付きが次へのきっかけとなりました。
つまり紙と加工のバランスが大事だという事を。
不連続模様の紙バンドを作れないものか?2004年頃からその考えに取りつかれていましたが、どうしても規則性が出てしまいます。それでも(・・・カラフルで不連続模様の手芸用紙バンドを作りたいぞ・・・)
と思っていました。でも思うだけではだめ、やって見ない事には前に進まないので、試しにいくつか作って見ました。それがマーブル紙バンドでした。
結局数カ所の工場でマーブル紙バンドを作りました。工夫や学びは沢山ありました。でも何か足りない。次の紙バンド探しは続いていました。
なんか違うなぁ?と思いながら、さらに3色マーブルの手配を終え、加工立合いを数日後に控えていた時、2011・3・11震災が起こったのです。
その後しばらくやる気が失せ、静かに過ごしていました。そして1年後、またエンジンがかかり、とにかく前へと歩き始めて作ったのが顔料墨流し紙バンドでした。
顔料墨流し紙バンド製造にたどり着くまであっちへ行ったり、こっちへ行ったりを繰り返し、その果てに人と機械との出会いがあったのです。
2012年、試作の顔料墨流し紙バンドを親しい方にお配りして意見等をお聞きしながら評価を頂きました。
次こそは本格的な製造・販売という時に、住んでいた高知県から静岡県への引っ越しやバタバタで落ち着かなくなり、顔料墨流し紙バンドの正式販売に漕ぎつけたのは2016年秋でした。
出来上がった4色のガンスミを見た時はうれしかったです。
顔料墨流し紙バンドの特徴は①不連続模様と②退色抵抗ですが、じつは隠れた特性がもう一つあります。それは③スムーズな編み具合です。編み感覚が一般的な手芸用紙バンドとは明らかに違うのです。この特性は顔料墨流し紙バンドを開発した後で気が付きました。編んで気持ち良い!という感覚を味わって下さい。気持ちよく編めた結果は、必ず満足な作品となって表れるでしょう。
顔料墨流し紙バンドの製造はかなりややこしく工程も多いです。その為高価になり兎屋は大量には作りません。そして年に一度(秋)に4色の顔料墨流し紙バンドを作り続けています。但し2020年は新型コロナに負けないぞ!という事でいつもの倍の8色の顔料墨流し紙バンドを作りました。
ここからは静岡市の老舗紙加工会社さんと4年掛けて作ったゴクボソ紙バンドの話です。顔料墨流し紙バンドが紙バンド手芸のこだわり高級素材として定着して行く一方、2002年の創業時に思った(様々なカタチの手芸用紙バンドを開発する)を思い出していました。
そしてまだやれる事があるはず!を考えていました。2014年暮れ、年末挨拶にお伺いした紙加工会社の社長さんの机の上に(それは)ありました。
どこかで見た事がある?いやそんな事は無い?思わずお聞きしました!「えっ 社長これなんですか?」
社長「作って見たんだよ」
そう言えば、社長おっしゃっていたなぁ ウチも手芸材料作って見たいよってね 本当に取り組んでいたんだ!元々その紙加工会社さんは、企業向け紙製品がメインでした。
社長の机の上に有ったのは、細い糸を6本紙バンド状に並べた紙バンドの「試作モノ」しかも苦心の後がしのばれるほど大量に、でもこれはイケル!
社長これ下さい 心当たりの方に感想をもらって来ますよ。
という事で、大量の試作品をニコニコ抱えて、年末の夕暮れ国道を帰宅していました。来年はこれで行くぞ!ってね。でも世の中そんなに甘い事ないです。明けて2015から2018年初頭まで開発がうまく行かず、もう止めようか?と思ったりしました。でも友人の「これ革の感覚で面白いかも」という言葉に、またエンジンがかかったりしていました。
2018年夏、やっと完成したゴクボソ紙バンド(単色)を発売出来たのです。こちらは3年半かかりましたけど、すかさずバージョンアップとして自然色を意識した(かすり)と、女性の皆さんに喜んで頂きたいと思い(パール)も作りました。
ゴクボソ紙バンドの開発には3年半かかりましたが、ペースを掴むと次の扉を開くのは意外に簡単でした。次の扉とは極細糸を使ってブレードを作る事でした。元々極細糸の扱いに慣れていた紙加工会社さんにはノウハウがいっぱいあり、ゴクボソ紙バンドの商品発表から1年半後には新しい紙バンドとして
ゴクボソブレードを発売する事が出来たのです。
ゴクボソブレードは極細糸を7本使って編んでいます。因みにゴクボソ紙バンドは極細糸を6本並べています。ゴクボソ紙バンドとの最大の相違点は、編んでいるブレードは割いて使う事が出来ない事です。
特徴は、すべすべしているゴクボソ紙バンド表面に比べ、ゴクボソブレードの方は編み目がある事です。これはお客さんの好みの分かれるところでもあり、作品の雰囲気が材料によって変化するという事です。
ゴクボソブレードの色展開はゴクボソ紙バンドとは若干違います。簡単にご説明すると、ブレードはベースの単色品と、単色ブレードの上に色を重ねる事で多彩な色表現を行っています。
例としてグリーン系の場合、単色の①グリーンと、②グリーン×茶・③グリーン×パールブルー・④グリーン×パールピンク・⑤グリーン×パールイエロー・と言った風に5色展開となっています。ここで気を付けて頂きたい事は、例えばグリーン×パールイエローの場合、ピンク色のイメージでいると!違います。
確かに工場ではグリーンの上にパールピンクを掛けてはいますが、グリーンが強くピンク色が弱まっています。
このような現象はすべての色に共通するわけではなく、重ねた色が強い場合もあります。これもゴクボソブレードの特徴としてとらえて頂きたいと思っています。それとゴクボソブレードでも「かすり」系の展開は今後行って行きます。
ゴクボソブレードの「次」の可能性として、多色糸ブレードも前向きに考えていますのでご期待下さい。
兎屋では、さらに次の手芸用紙バンドを作ろうと、いろいろ試しています。まだカタチにはなっていませんが、その時が来ましたら、ご案内致します!どうぞ楽しみにお待ちください。兎屋